「水」と「情報」の価値を知るユダヤ人

西アジア史

ユダヤ人が昔から最も大切にしている以下の二つ。

  人間は、水が無ければ生きられない。  

情報 如何に早く危険情報、安全情報を手に入れるか。情報は生死を左右する。

命の水

西アジアの「水事情」はけっして良くない。水道水を直接(タダ同然に安く、且つ安全に)飲める国は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイくらいしか無いとも云われている。特にイスラエルやパレスチナなどは、一滴の水さえ無駄にすることが許されない、水に恵まれない国です。

中東戦争は水の奪い合いだった。イスラエルはこの戦争に勝利し、多少なりとも雨が降るベカー平原南部の水源地をパレスチナから強奪した。極論、ベカー平原を奪う為に、イスラエルはパレスチナに対する戦争を仕掛けた。それが中東戦争の裏事情と言える。更に、アメリカ合衆国という強力な後ろ盾を持ったイスラエルは、もう一つの重要な水瓶であるゴラン高原をシリアから奪い取った。

二つの水源地(平原と山岳地帯)を横取りしたイスラエルは、「何が何でも手放さない(=返還しない)」という強硬姿勢にある。何でもかんでも『約束の地』理論で強行突破する。パレスチナやシリアは、幾度となく水源地奪還を試みて来たが、水を得たイスラエルとの国力差は開く一方である。そして米英はじめEU諸国がイスラエル支持を崩さない以上、イスラエル領土は拡大こそすれ縮小はない。

中東戦争に勝てたおかげで最低限の水源は確保出来た。とは言うものの、イスラエルは、慢性的水不足の解消をまだ達せてない。イスラエルには、世界各地へ離散していたユダヤ教徒達が続々と戻り、人口増が止まらない。故に、水に対する不安は深刻度を増し、隣国のエジプトやトルコに対して必死に拝み込んで水を分けて貰う状況が続いている。それでもイスラエルはまだマシな方だ。イスラエルから水を奪われたシリアやヨルダンやパレスチナの水事情はもっと深刻で、水が無いから発展しない。発展しないから資金も無く水不足の解消手段を備えられない(海水淡水化装置の増強その他)。

古代から、水不足との苛烈な戦いを強いられたヘブライ人(ユダヤ人)が遊牧を始めた目的は、農耕地や畜産地を求めたというより、人間が生きる為の雨(水)を求めてのものだった。雨が降れば生かされるし、降らねば死する。『雨乞い』すればいつかは雨が降る我が国(日本)とは大違いで、降らない時は徹底して降らないのが西アジア。

雨は人間が望んだからと言って降るものではなく、天(神が住む処)の力によるもの。ヘブライ人(ユダヤ人)は、雨水を通して「天」に唯一の神の存在を求めた。その唯一の神を信じ抜く契約を成したからこそ約束の地=カナンを手に入れたと主張し続ける。世界で初めて唯一神の「宗教」を始めたユダヤ人は、「水」には金を惜しまないし、「水」の為なら敵の足も舐める。

足を舐めるは言い過ぎですが、イスラエルは敵国からでも水を買う。売ってくれるのなら、イラクやイランからでも買うでしょうね。正に何ものにも代えられない「命の水」。

お宝「情報」

同様に、ユダヤ人にとって生きる為に何よりも重要だったのが「情報」です。

歴史上、常に弾圧される側に立たされて来たユダヤ人にとって、如何に早く危険情報、安全情報を手に入れるか、それこそが重要だった。死に物狂いで情報集めに奔走した。自分達の命を左右する(民族存亡を左右する)情報の価値に対して、金に糸目をかけず仕入れ、調査、分析して、加工、提供して生きて来た。

イスラエルが、世界の情報技術発展に大きく寄与している事は誰も否定しないでしょうけど、彼らは本当に「情報」の仕入れと加工と操作(運用)に命懸けです。情報だけは、何処の誰にも先を越されてはならない。というのがユダヤ教徒のユダヤ教徒たる生き様。ユダヤ人は「情報」を頼りにしか生きられなかった。とも言えます。

日本人は、人の噂も七十五日。喉もと過ぎれば熱さ忘れる。情報の大切さを分かっているようで分かっていない。「何の苦労もせず無料タダで手に入れた情報にろくなことは無い」って事が分からない。だからありもしない噂を然もほんとの事のように受け取るし、ほんとは教えてはならない秘密情報を平気で受け渡す。だから、日本人ほど「情報操作下手」はいないと言われる。そして、情報共有相手としては最も不適格な相手が日本人とも言われ、お人好し故に信用出来ないという評価を下される。

ユダヤは情報に踊ることは無い

日本人は、情報に踊らされ易く滑稽な民族と言われる。噂に振り回されやすい日本では、外国人がそれ(日本人の噂踊り)を愉しむ為にデマを飛ばし放題しています。何でも知りたがり、知った事を(嘘も見抜けず)知ったかぶりして喧伝して、そして身の破滅を招く。日本人は、技術はあっても、情報の生かし方、殺し方を分かっていない。

情報に踊らされる日本人と真逆なのが、情報に踊らないユダヤ人

ユダヤの格言には、「相手の言葉で相手を縛れ」という言葉がある。一度口にした相手の言葉を忘れずに利用、応用、転用、悪用します。

パレスチナ人がお人好しとは思わない。が、和解しては損をする。損をしては和解する。そしてまた損をする。これをずっと繰り返している(繰り返させられている)様子を見ていると、パレスチナだけでイスラエルと向かい合うのはとても無理という気がしてならない。が、繰り返しになるけれど、この一帯の国々がどれだけイスラエルを非難しようとも、いわゆる西側諸国が総じてイスラエルの方を持つのだから何をやっても敵わない。そして・・・

報道では、パレスチナでは、今、正に、「命の水」が尽きてしまう寸前にある。イスラエルは、どれだけ人間にとって水が重要か分かっているくせして、ほんの一滴の水さえパレスチナ人に与えられるのを許そうとしていない。非道極まりない。しかし・・・ほんと堂々巡りだが、イスラエルの情報操作によって「悪いのはハマス(=悪いのはパレスチナ)」であり、「ハマスの皆殺し(=パレスチナ人の皆殺し)」が正当化されようとしている。世界の人の多くは、既に、イスラエルが狂気じみていることを知っているのだが、それを大っぴらに口にすると、今度は自分達が情報操作により敵化されてしまうから口を噤むしかない。解決策が何もない・・・と思わされているのも既に情報操作。怖い事だね。