尖閣問題

時を紡ぐ~Japan~

尖閣諸島の歴史と現在

尖閣諸島は”日本固有の領土”。なので、他国に譲歩する余地は何もない。

1895年(明治17年)1月14日の閣議決定により、尖閣諸島は、大日本帝国(自治体としては当時の沖縄県)の正式領土として編入された。つまり、尖閣諸島は元から沖縄県だったわけではなく、沖縄県外の島(群島)だった。であるならば、それまでは何処の国の島だったのか?その答えは一つ。

「尖閣は、日本国の領土になるまで何処の国の島でも無かった。

支那の歴代王朝も大琉球(沖縄)も小琉球(台湾)も、14世紀とか15世紀頃には其処に現在は尖閣諸島と呼ばれる群島があることを知っていた。しかし、人が暮らせる島では無く、時折、航海途中の休憩所的に利用されていただけの島であった。もっと詳しく書くと・・・
1322年頃の琉球(現沖縄)は、三山時代と呼ばれる時代に入った。山北、中山、山南という三つの国(王朝)が別々に明王朝の朝貢国として並立していたということだ。それから約1世紀後の1429年に、山南の佐敷按司が台頭して琉球統一が成される。統一された琉球王朝から明朝の都(南京、北京)までの航路はけっして短くはない。途中、途中で、休憩地を必要とした。尖閣は、その休憩所として利用されていた可能性はある。しかし、尖閣の位置は知られていても、其処は無人島として捨て置かれた群島だった。
もっと詳しく書かれている史料はインターネット上にいくらでもあるので、当BLOGではこの程度で留めて1895年に戻ります。

1895年の1月と云えば、まだ日清戦争の最中である。台湾などが日本へ譲渡されるのは日清戦争後のことであり、尖閣諸島は清帝国から譲渡されたわけではない。先占の法理に則り(誰も住んでいない島、且つ、所有国家が無い状態を確認し)日本領として組み入れられた。この手順を踏む為に、1885年から調査を続けていたが、清帝国本土や台湾からの来訪は一切認められていない。日本調査団以外は誰も訪れない完全な無人島のままだった。つまり、1895年まではどの国家の「固有の島」でもなかったわけで、1895年に初めて当時の大日本帝国が固有の島であることを宣言して、国際的に異を唱える国は存在しなかった。

1945年、大日本帝国は第二世界大戦の敗戦国となる。沖縄や小笠原諸島などが連合軍(その後アメリカ合衆国)に占領された。その中に尖閣諸島も含まれた。つまり、この段階でも尖閣諸島は中国や台湾の領土ではない。
1972年(昭和47年)5月15日に沖縄が日本へ返還された。この時、尖閣諸島も一緒に日本国へ返還されたことは、日米の協定調印により明白である。国際社会は、尖閣諸島は沖縄県であることを認めていた。ところが・・・

沖縄返還以前の1968年(昭和43年)の海底調査によって、尖閣諸島海域が石油や天然ガスの宝庫であることが確認されている。それ以降、中国・台湾が色めき立った。沖縄返還に先駆けて、尖閣の領有権を主張するようになり、1971年3月15日には、当時の中華民国(台湾政府)が、米国政府に対して、尖閣諸島を沖縄返還から除外することを強く要求。同時に、尖閣諸島は中華民国領であると言い出した。そして同年6月11日に正式に領有権を主張する。
この年の暮れ、12月30日になると、中国共産党政府も尖閣諸島の領有権を主張する。

それ以来、正当な所有者たる日本国に対して、中華民国(台湾)と中国が、尖閣諸島の領有権を繰り返し主張して譲る事無く、現在まで争いが続いているわけだ。

いわゆる尖閣海域は、中国の海軍や空軍が我が者顔で航行・飛行している状況で、更に漁業関連では、中国船ばかりではなく台湾船の不法操業が常態化している。
海上保安庁や防衛省は、日々繰り返される領海・領空侵犯の対応に神経をすり減らしている。時折、本当に緊迫した状況のニュース映像なども報じられる。「領海侵犯」「領空侵犯」「不法操業」その他、この海域に関するニュース報道に触れる毎に、日本国民の多くが、忸怩たる思いを募らせている。“主権在民国家”の主権者である国民だから、国家領域を侵されることに対して無関心を装う事は許されない。

海上保安庁も防衛省(自衛隊)も出来る範囲の事はやっているのだと思う。(※因みに水産庁も、主に日本海に於いて、北朝鮮や韓国漁船の不法侵入に対して警戒行動を取っている)。然りながら、現在出来る範囲の実力行使(警告~放水~追い返し&極稀に拿捕)では、いつまで経っても解決に向かわないだろうと外交・軍事の評論家達は言っている。

境界線を認めない相手

国際法上では、領土、領海、領空の侵犯に対しては、警告なしに実力行使して何ら問題はない。しかし、日本の周辺国家(ロシア、中国、北朝鮮、韓国、台湾など)は、北方領土、沖ノ鳥島、竹島、尖閣諸島などを、其処が日本国固有の領土であることを認めようとしない。認めていないどころか・・・
北方領土はロシア、竹島は韓国に実効支配を受けている(つまり、強奪・不法占拠されている)。
沖ノ鳥島を含む太平洋は、中国が”大陸棚主張”で自国化しようとしている。
そして今回の主題である尖閣諸島に関しては、中国と台湾が自国領を主張し一歩も引こうとしない。この2ヶ国に言わせたら、日本国が尖閣を不法占拠しているという事だ。

繰り返すが、国際法上では、領土、領海、領空の侵犯に対しては、警告なしに実力行使して何ら問題はない。しかし、相手国家は不法侵入と認めない。だから、実力行使して排除しようとすれば争い(武力衝突)に発展しかねない。その事を避けたいから、出来る範囲(許される範囲)”=相手国が我慢出来る範囲”での対処に留めるしかない。ギリギリの攻防戦が繰り広げられているという事です。

核の脅し

単発的な地域戦で終わらせられる事であるなら、自衛隊などはもっと強い対処法を取るでしょう。しかし、相手は中国やロシア、そして北朝鮮もいます。北朝鮮は国際的には認められていませんが、その3ヶ国はいわゆる核兵器を持っている。歴史的なしがらみもあり、日本国家・国民を排除(殲滅)することを躊躇しない。そういう国々と係争状態にあるわけですから細心の注意を払わなければならない。本当に厄介なことです。

核恐怖症が蔓延している日本社会では、中国やロシアや北朝鮮に対して面と向かって実力を行使することを望まない人の方が多い。日本に非はなくても勝手に世論操作され、何故か政権批判へ向かったりもする。だから、所轄の大臣や長官も実力行使には極めて慎重になる。
固有の領土である事を明白だと言いつつも、侵入されたら遺憾の意を述べるか、極めて遺憾砲を放つ程度が関の山。それが分かっている近隣諸国からは嘗められっ放しの状況にある。

不当に侵略して来た相手に対しては、空爆するなり艦砲射撃するなりは行えて当然。中国だろうが台湾だろうが韓国だろうが北朝鮮だろうがロシアだろうが、「侵略されたら容赦しない!」と言える筈。ところが現在の日本社会を支配するメディアは、無抵抗=大人の対応を頻りに唱え、防衛行動さえ暴力行為だと非難する。そして必ず、「日本の側にも非がある」という論調が多勢を占めているかのような印象操作を施され、出来もしない「話し合い解決」を正答としてしまう。

マスメディアが繰り返す「話し合い解決」に対しては、「何を話し合う必要があるのか!」という反発の声も上がる。それは至極当然だ。日本以外に正当な所有権者はいないことは明白なのに、何を話し合うのだ?しかし、全く以て馬鹿げた話だが、相手国(中国・台湾)に理解して貰うには何度だって話し合い、説明責任を(日本が)果たさないとならない。というのが日本マスメディアの言い分だ。

尖閣を領土問題化した張本人は米国

更に極めて腹立たしい話だが、日本国への返還調印を行った当事者である米国は、この件を日中台の三者でしっかり話し合って解決して下さいと不干渉の姿勢である。米国は、返還調印した事実さえ無かったことにしたいのか?

そもそも、尖閣を複雑問題化した張本人こそが米国である。どういう事か?

ざっと書くと、尖閣海域に大量の海底資源が埋蔵していることを尖閣返還後に知った米国は、日本政府に対して「半々に分けないか」と打診。それに対して日本政府は、日本領海内の資源をどうして米国に半分提供しないとならないんか?馬鹿言うなと徹底拒否の姿勢を崩さなかった。

それでも資源が欲しい米国は諦め切れずに、台湾に対して資源の事をリークする。そして、台湾に対して半分ずつ分け合うことを提案。台湾にとっては降って湧いたような話でもろ手を挙げて乗った。そして尖閣は台湾領であることを強く主張する。ところが・・・

台湾を独立国家と認めず自国領だと既定している中国がこの話を知り、尖閣は(台湾含めて)中国固有の領土であると主張。中国は勿論尖閣資源を米国と二分しようなどとは考えていないが、その代わりに「太平洋は中国と米国で二分割しよう」と訳の分からないことを米国に提案している。

米国ってほんと出鱈目な国である。イスラエルとパレスチナの殺し合いだって、ウクライナとロシアのそれだって、煽ったのは米国。日本とロシアの北方領土問題も、元を糺せば、大日本帝国とは不可侵条約を結んでいて、律儀にそれを守っていた当時のソ連に対して日本の領土をチラつかせて日本への侵攻を煽ったのは米国だ。全く困った国である。

事ここに及んでは何らか話し合って、改めて文書に調印し合わねば何の解決にも至らない。ほんと腹立たしい。腹立たしいので色々考えてみたが、何をどう考えてみたところで、中国と米国が絡んでいる問題に対して、日本が何らかの解決策を提案しても中国も米国も必ず拒絶する。日本の現実はその程度。

だから、尖閣領有問題は何も解決せず、その内に中国が勝手に海底掘削を始めて日本はただ指をくわえて眺めているだけに終わる。今の日本の国力及び国内結束力の低下には歯止めが利かない。だからそうなる。全く以て腹立たしい。

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