キス~接吻~

LOVE & EROS

キスの名言

愛くるしく妖艶な唇で世界中の男を魅了したマリリン・モンローは、次の言葉を遺した。
A wise girl kisses but doesn’t love, listens but doesn’t believe, and leaves before she is left. 賢い少女は、キスを交わしても愛さない。(囁きに)耳を傾けても信じない。そして、ふられる(捨てられる)前にふる(捨てる)
愛らしい表情の裏に様々な苦労が隠されていたマリリン・モンローらしい言葉。

キスの名言と言えば、19世紀に活躍したオーストリアの高名な劇作家、フランツ・グリルパルツェル。マリリン・モンローは、苦労の末に世界的な女優となり後世に名を残しますが、グリルパルツェルにも、その洗練された”エロチックな文章”からは読み取れないような苦労(苦悩)があった。

法律家(弁護士)の家庭に生まれ育ったフランツは、ウィーン大学へ進学して当たり前のように法律を学ぶのですが、在学中に父を亡くす。そこまでは特に驚く事でも何でも無いのですが、大学卒業後に、母と弟3人を養う為に大蔵省の役人になります。

(元々備わっていた才能でしょうけど)公務員生活中に文才に目覚めたフランツは、25歳で処女作『先祖の女亡霊』で作家デビュー。翌年には演劇公演され成功を収めます。公務員作家として注目されるフランツですが、その年に、弟のうちの一人を入水自殺で亡くします。

弟を亡くした翌年に発表された作品がサッフォーを題材としたもの。その翌年に『キス(接吻)』を執筆します。

弟の自殺と言うスキャンダラスな面と、サッフォー作品で描かれた女性同士の同性愛や、『キス(接吻)』で(当時の)女性の多くが彼の虜になった。虜になった中には従兄弟の妻も。そして、フランツは従兄弟の妻と不倫へ落ち、弟の自殺で精神を病んでいた母はその事でまた精神錯乱し自殺。フランツは、ますますスキャンダラスな作家として世間から注目される。

晩年のフランツの作品は、政治批判を含む内容で書かれることが増えて上演禁止が相次ぎ生活苦へ陥ったとも云われます。結局、生涯独身だったフランツは、81歳で静かにこの世を去ります(当時では、普通に長生きな方でしょうね)。

ところで、モテモテの作家だったフランツは、女性とのキスをどう受け止めていたのか。

手の上なら尊敬のキス
額の上なら友情のキス
頬の上なら厚情のキス
唇の上なら愛情のキス
閉じた目の上なら憧憬のキス
掌の上なら懇願のキス
腕と首なら欲望のキス
さてそのほかは・・・みな狂気の沙汰

そうなのかな?ちょっと違う気もするけど時代的にはそうだったのでしょうね。
唇の上、じゃなくて濃厚な接吻は狂気の沙汰?
背中へのキスは?脹脛へのキスは?腿へのキスは?足指へのキスは?乳房へのキスは?心の中まで届くようなキスは?・・・全て、狂気の沙汰?

エロスが大好きで女性崇拝者の不肖私には、女性美そのものにのめり込んだと思われるフランツを理解出来る。行為以上に女性や女性美を崇拝したフランツが魅了されたの相手がサッフォー。不肖私も崇敬するサッフォー。でも・・・モテモテの人生だったフランツさんとはまるで違う(大笑)

ところで、男はエッセイストには向かないと云われている。エッセイストとして成功している作家の多くは女性である。女性は嘘を吐くのも、嘘の吐き方も洒落ている。だから、自分告白的なエッセイが似合う。男は、嘘が下手である。そもそも、(女性に)興奮するとすぐにバレる(笑)心情がそのまま表に出てしまうのが男という生き物でもある。

そういう事はどうでもいいけれど、上述した部位へのキスの意味ですが・・・そういうの思いながらなんてないよね。だからモテないのか(笑)

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