ウクライナとロシア (当エッセイを読むだけで、だいたいイメージ出来る)

東欧史

Япония

Японияは、ロシア語表記での日本。ヤポーニャだけど、発音では「イポーニャ」となる。

ソチ五輪の入場行進で、ロシアの前に日本選手団が入場した時に色々と説明があったので覚えている人も多いと思います。

アルファベット順では「Z」が最後だけど、ロシア語順では「Я」が最後になるらしく、それで開催国ロシアのすぐ前を”露払い”みたいに後ろから2番目の位置で入場行進。でも、あの時は意外とそれで良かったですよね。日本選手団のすぐ後に真打ち(ロシア)登場。会場ボルテージが一気に高まり大観衆ワーワー言っている中を行進出来て気持ち良かったでしょうし、ロシア国旗と日の丸と、二つの小旗を両手に持って入場していたし、日本からの祝いを伝えられていたような気がします。

東京オリンピックでは、「ロシア」ではなく「Comite Olympique Russe=CORしーおーあーる」の表記になるなんて、ソチの時には思いも寄らないことだったけど、まさか、ロシアがウクライナと戦争するとはね。と、両国関係を良く知らない日本人からはそのような思いだろうけど、ロシア人やウクライナ人にとっては「あ、またか」でしょうね。歴史上、飽きることなく繰り返されて来た・・・「またか」です。

ソビエト・ウクライナ戦争(1917年~1921年)

今より100年少し前、1917年から1921年にかけての事だけど、キーウを首都とするウクライナ人民共和国に対し、当時のロシア社会主義共和国が提唱したソビエト連邦への参加を望んだ第二政府=ウクライナ社会主義共和国がクーデターに等しき戦争を起こす。当時のロシア社会主義共和国は後者を支援。

ウクライナ人民共和国、と言うより当時のウクライナ国民の10人に1人が死んだ。この戦争当時のウクライナがどれ程の国民数を持っていたのかは知らんけど、1926年のウクライナには、約2300万人のウクライナ人と約600万人のウクライナ人以外の人々がいて国民総数は約2900万人。この数字をベースに1917年を推察しても2500万人を下らない国民がいた筈で、10人に1人・・・4年を費やして実に恐ろしい夥しい数の人々が戦争犠牲者となっている。

ウクライナ・レジスタンス(1942年~1954年)

第二次世界大戦に於ける独ソ戦争を機に、ウクライナでは、ソビエトからの独立を目指す人々が蜂起した(ウクライナ蜂起軍=ウクライナ・レジスタンス)。略してUPAは、ソビエト軍に対抗する為にナチス・ドイツとも握手した。そもそも、1921年に完全併合されて以降も、ソビエト=ロシアに対する局地的な反抗は繰り返し起こされていて、それが第二次世界大戦を引き金に大きな火が点いた格好だ。

ナチス・ドイツは、この時、完全に作戦を失敗する。当初、ウクライナではナチスを解放軍のように歓迎しソ連軍に対する共同戦線を望んでいた。取り敢えず、ソ連軍を壊滅させるまでという期間限定でもUPAへの支援を続けていたらソビエトに勝てた筈。ところが、スラヴ系諸民族をユダヤ人と同一視するナチスは、ウクライナ人をも標的にし始めた。それで、三つ巴の歪な戦争になり、ナチス・ドイツは勝機を失って敗北する。ドイツがソ連を降伏させてたら、日本は米軍にはやられていたにせよ、北方領土は今のような状態では無かったろうに・・・と、日本人の勝手な言い草でした。

ソ連は、ドイツを敗北に追い込んだ後、今度は徹底してUPAを攻撃する。これには、ポーランドも加担する。ポーランドがUPAを攻撃した理由は、先にポーランド国内のユダヤ人ホロコーストにUPAが加担したから。ナチスとの連携の為だけどウクライナ人も過ちが多い。日本では、スターリンの大虐殺が問題視されるけど、ホロコーストを先にやったのはUPAなのでね。まぁだからと言って、ウクライナ人の大量殺戮とか、反共産体制派への無差別殺戮とか、それはいくら時代性を唱えても許されないこと。米軍による無差別殺戮に等しき都市への空爆(当然、原爆含む)も一緒。戦争やるなら、軍隊同士でやれよ!・・・と言っても、結局は市民生活を巻き込む。だから、戦争そのものが罪。

繰り返しになるけど、ポーランドとソ連に挟み撃たれたらUPAに勝ち目は無く、10年以上のレジスタンスは結果敗北で終わる。その間UPAが行ったホロコーストについては、1991年の独立以来、ウクライナは公式・非公式の場で繰り返し弁明している。けれども、ヨーロッパ内に、ウクライナに対する支援気運がイマイチなのは(イマイチですよね?何となく)、「ロシアもロシアだけど、ウクライナもウクライナ」という見方をする人々が一定数いるからでしょう。

ウクライナ紛争(2014年~  現在)

現在のウクライナ情勢は、元を辿れば2014年2月の「ユーロ・マイダン革命」に於ける激しいデモと間髪入れずに起こった「クリミア危機」。この流れの中で、ウクライナとロシアの仲が急速に冷え込んだ(逆に言えば物凄く熱く沸騰した)ことによる。そして、ドンバス地方へのロシア進軍で完全に仲違いして、2021年秋に完全な戦争状態に至り現在に続く。

驚いたのは、歴史上ウクライナ(と言うよりコサック)とは色々あるポーランドが、結構な人数のウクライナ難民を受け入れていること。第二次大戦直後なら絶対に有り得ない事だったろうけど、それだけ見ても、世界情勢は刻一刻と変化する。それはそれとして、ロシアとウクライナの戦争はざっと過去を見ただけでも長期化することが分かる。

ずーっと、仲が悪い

基本的に自由気ままなコサック国家ウクライナと、強い皇帝を欲しがる統制好きのロシアでは水と油。ずーっと仲が悪い。ソビエト連邦の構成国家同士だったことがそもそも間違い。どうして同国民として仲良く出来るという発想になったのかが不思議過ぎる。

政治支配下に治めておけばその内に同化する?そんなわけはない。帝政当時のロシアと協調したドン・コサックは、当時のロシア皇室が示した好条件に釣られただけでしょう。まさか帝政ロシアが終焉するとか、その後に社会主義化してソビエトになるとか思ってもいないことだったろうし、コサックの人々が、統制社会の中で生きていける筈が無かった。ましてや、コサックの本家本元ウクライナだよ。この人々を暴力的に併合したって、何れはレジスタンスを起こすことは容易に想像出来た筈。反抗すれば殺せばいい、その程度の考えで領土だけを欲しがったのだからソ連が崩壊したのは当然。ロシアとなって出直しを図った筈なのに、彼らはまた同じ過ちを犯そうとしている。ウクライナと仲良くしたいのなら、ロシアも自由国家にならなくてはならない。でも無理でしょう?だったら、もう、ウクライナを諦めろって話です。

日本人が、朝鮮人や中国人と一緒の国家国民には絶対になれないのと同じこと。隣国だから仲良くしよう?は、必ず失敗する仲良く出来ないから同一国じゃなく境界線引いて隣国。「仲良く一緒に」は、有り得ない

1658年から1676年まで、コサック国家(ウクライナ)vsツァーリ国家(ロシア)で飽きることなくずっと戦争していた。そこに常にポーランドやリトアニアが絡んでいて、自由を愛していた筈のポーランドだが、自由過ぎるコサックとは肌が合わない事も多く、ポーランドはロシア寄りだった時が多い。だから、コサックは常に苦戦している。でも、まぁ結構抵抗している。現在の戦争も、日本人の多くはウクライナはすぐに負けるとか言ってたけど、歴史上、ウクライナはすぐには負けない。何年も抵抗する。十年超えても抵抗する。それがコサック国家たるウクライナの姿勢。そして、ロシアにもコサックの末裔は多く生き残っているから、ロシア人だって、ウクライナとの戦争がすぐに終わるなんて思っちゃいないだろう。一度始まったら終わらない。ウクライナを相手に戦うってのはそういうことらしいから。

ポーランド、リトアニア、ロシアには(トルコ=オスマン帝国やスウェーデンその他多数もだけど)、それぞれコサックを雇い、コサックと戦い、コサック同士が戦うという入り乱れた歴史がある。コサックを壊滅させる為にポーランドとロシアが手を組んだり、ポーランドに対抗する為にコサックとツァーリが手を組んだり、またその逆だったり。兎に角、ここら辺の人々と国家政治は歪で分かり辛い。すぐに裏切るから戦争が止まらない。

スウェーデン(バルト帝国)、ポーランド・リトアニア共和国、オスマン帝国、グレートブリテン王国、デンマーク・ノルウェー王国、プロイセン王国、ザクセン選帝侯領、ハノーヴァー選帝侯領、ロシア・ツァーリ国、ヘーチマン国家(=コサック)などが誰が誰と戦争しているのか訳分からない状態になって入り乱れた「大北方戦争」(1700年~1721年)でも、ロシアとウクライナは戦って、握手してまた戦って・・・ほんと、完全に付き合い止めとけば?と思うほど。

どっちもどっちか

ロシアもウクライナも、絶対に「向こうが悪い」と譲らない。でも、結局はいつかは握手して暫くは仲良くする。そしてまた喧嘩別れして殺し合う。この2ヶ国以外からしてみたら、「あ~あ、また始まっちゃったよ」的なことだけど、その時々の利害関係で、どちらかを凄い悪者扱いにする。今回は、まぁ、ロシアが悪者でウクライナは被害者になっている。しかし歴史を辿れば、ほんと、どっちもどっちでいい加減、周りを巻き込むのはやめてくれって感じ。

人類史上最も破壊的な戦いの一つである三十年戦争(1618年~1648年)でも「コサック」だけで言えばどちらの陣営にもいた。早い話、コサックは、三十年でも何十年でも何百年でも、自分達を敵とみなす相手とは戦い続けるし、自分達と”契約”した相手の為にも戦い続ける。

でも、日本、韓国、北朝鮮、中国、台湾の面倒臭さも似たようなもの。歴史は繰り返すから、どうしてもダメなものは何をどう一時的に取り繕ってもダメなのだ。水と油は永遠に水と油。隣近所とは仲良くしろ?なんて言われても付き合えば付き合うほど、イヤな面が見えて来るからやっぱりダメなんだよ。

勝手にクリミア問題と答え

そもそも、クリミアの領有権はどっちにあるかってことなら・・・
ソビエト崩壊時にちゃんと自国領に戻しておかなかったロシアが自分で墓穴掘ったわけだから、諦めてウクライナに譲渡するべき。
ウクライナは、クリミアに関して歴史上の権利は何も無く、ソ連邦の構成国家になって棚ぼたで得た土地だから、クリミア・タタール人に最低でも半分くらいは譲り自治権を与えてクリミアの共同統治者として保護すべき。
クリミア・タタールは、クリミアで自治を行う条件でロシアとは完全に縁を切る。将来的にウクライナから独立するかどうかは将来の話。今、そういう条件は出せる力はないでしょう。

それにしても、ウクライナとロシアの件は、この1回の投稿で書き切れるような簡単な問題じゃない。というわけで、この件に関する続きエッセイを近々書きます。今回はこれで終わりです。

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