人間は嘘吐き

１９世紀のイギリスが生んだ偉大なる自然科学者チャールズ・ダーウィン。
ダーウィンが提唱した進化論が『種の起源』として公刊されたのは１８５９年ですが、それをきっかけにして、全世界でそれ（ダーウィン説・・・・・・）を立証（確証）して更なる発見をしようとする側とそれを覆そうとする側とが相まり化石発掘ブームが起こります。それは現在にまで続き、けっして終わりは来ないのかもしれませんね。

ダーウィン説を支持する科学者グループは、その立証を馬の進化に求めて、ウマ族の祖先は、嘗て馬を駆るインディアン達が栄華を極めた北米大陸にあると主張。５５００万年前に遡ると言われる多種多様な発掘化石群に対しての進化検証が行われます。

北米大陸から出土した化石群の進化検証に溯ること数十年前の１８３８年。イギリス・サフォーク州で発見されていた動物化石があります。それがヒラコテリウム。

ヒラコテリウムの名付け親は、ダーウィンと同じく１９世紀のイギリスが生んだ博物学の権威で”恐竜”の名付け親となったリチャード・オーウェン。そしてオーウェンこそ、ダーウィンの進化論を最も敵視した人です。
ダーウィンの進化論を苛烈に批判したオーウェンは、研究室に持ち込まれたその化石を鑑定。特に、歯や頭蓋骨は、アフリカからアラビア半島に生息している小型の哺乳動物ハイラックスに似ていた。取り敢えず化石年代は約５千万年前のもので現代には生きていないものとして、”ヒラコテリウム”と命名します。更に、ヒラコテリウムと名付けたその”古代生物”は、岩タヌキの一種という鑑定結果が付け足された。

一方、ダーウィンの進化論を支持する研究グループは、北米大陸をウマ族の進化舞台と信じて、ダーウィン説の立証に躍起となる。
彼らは先ず、発掘された化石群を発見層（地層）の年代順に並べて同種立証を行った。その結果、メリキップス、メソヒップスなどと名付けと同種区分けが進み、始新世地層（ギリシア語でエオシーン）より発見されたその化石・・・・を、地層名に因み”エオヒップス“と名付けた。更に、オーウェンが岩タヌキの一種としたヒラコテリウムの研究結果について、”化石”馬ではないか？という意見が出て来る。

ウマ族の祖先は「北米大陸の化石群の中にいた」と主張する科学者達が、どうしてヒラコテリウムをウマと見たのかは分からないが、エオヒップスと同年代地層のヒラコテリウムの比較検証が行われる。するとその結果は、・・・何と同じ。
それで・・・？発見年の早さから「ヒラコテリウム」の名がウマ族の祖先とされる。それはおかしいでしょう？タヌキとウマは似て非ざる？いや、全く似ても似つかない。タヌキは馬になるのか？タヌキは馬に化けますか（笑）
それでもまだ、ヒラコテリウムは馬の祖先なのかどうかの議論が続いているらしい。

以上のような面白い話は、ＪＲＡ（日本中央競馬会）発行の「新・競馬百科」で色々書かれていて、馬券を買わない者にとっても興味深く、なかなか為になります。

そもそも、このタヌキがウマに化ける？というそれこそ「馬か？鹿か？」的な話も、ヨーロッパ人がウマ族の興りをヨーロッパに持とうとした執念からだと考えます。即ち、ペルシアやモンゴルの騎士道を輸入した事実を否定したかった。要するに、アジア人の精神がヨーロッパに受け継がれた（持ち込まれた）なんて事だけは「認めないぞ！」というアジア蔑視の考え方によるもの。
そのような姑息な考えがタヌキまでも馬の仲間にしてしまい、実に面白い話となった。しかも、これもまた笑い話ですが、岩タヌキはタヌキではなくキツネ種とも云われている。ほんと化かし合いですか？

人間はそうやって”種の起源”を自分達の都合で奪い合う事を平気で行う。起源論は云うまでもなく、史実と云われ続けたものが、全くの作り話という事もたくさんあります。そして、人間が票を投じて選出する政治家達も狐と狸の化かし合いのように、嘘ばかりの政治を平気で繰り広げている。嘘八百の政治の所為で、ウクライナとロシアも勿論そうだけど、イスラエルとパレスチナのように絶望的な殺戮が繰り返される。

「約束の地」なんていう話はユダヤ人が勝手に創ったでっち上げで、ユダヤ人以外は誰も信じちゃいないこと。それなのに、先住していたパレスチナ人を追い出してイスラエルを建国してやった・・。ユダヤ人は喜んだだろうけど、パレスチナ人や接している周辺諸国住民の殆どを占めるイスラム教徒にとっては「ふざけるな！」ということ。それにより、中東戦争が起こり、それ以外でも頻繁にテロ行為が繰り返され、湾岸戦争などでもこの問題が大きくクローズアップされた。全て「始まり」に対する問題解決の失敗によるもの。

起源とか始まりとか、そんなものより「今」が重視されるべき。起源とか始まりとかは百科事典にでも刻んでおけばそれでいい。そんなものを重視するのなら、アメリカ合衆国さえ今すぐ廃国して、そこはインディアンに明け渡して全員その地を離れろ、という話になる。中国だって、その半分くらいは元々の民族に返還しろという話になるし、ロシアも当然そうなる。馬鹿々々しい話である。

今の人間の誰一人として繋がっていない嘘か実か証明しようのない超古代のことを優先して、現代を否定した結果、未来のある少年少女の命を簡単に奪う。狂った老政治家や金の亡者どもの自己満足のためだけに、無数の「夢」が消されてしまう。実に嘆かわしい。
イスラエルにも言い分はあるだろうけど、自分達にも虐殺された過去があるからと言って、パレスチナの民間人を殺しまくって良いわけがない。

ブリテン島の化石ウマ・ヒラコテリウムも、北米の化石ウマ・エオヒップスも、同じ”ウマ”だった。イスラエル人もパレスチナ人も数万年後の人類から見たら「同じヒト」として扱われる。宗教が違うだの歩んできた歴史が違うだの、ただそれだけの事でもうこれ以上憎しみ合うなと世界中の多くの人はそのように思っているのだから、政治家として選ばれている人達はもっと汗かいて本気で解決しろ。