本初子午線から日本を見て、そして地球を考える

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本初子午線

Wikipediaよりお借りしました。本初子午線標準世界地図。

上図は、本初子午線を中心に置いた世界標準の地図です。日本版(日本を中心に置く)の世界地図を見ることが大半で、それ以外の世界地図をあまり見ない人達には、「日本軽視の地図」と受け止められるのかもしれませんね。それは大きな誤解。

太平洋の広さばかりが目立つ地図よりは、この地図の方が古代からの人の流れ、文化の流れをより感じ易い。そして、大西洋に消えたと云われるアトランティスの話がもしも本当ならば、南北アメリカ大陸に対する歴史の見方も違って来ませんか?シベリアからアラスカへ、という順路だけでなく、もっと早く、アフリカ東海岸=>アフリカ西海岸=>アトランティス大陸=>南米大陸という人類の旅が可能だったのでは無いでしょうか?・・・というような実に楽しい空想も、この地図からは浮かんで来ませんか。

経度0度0分0秒と定義された基準の子午線(経線)に、国際的な本初子午線としてIERS基準子午線が使用され始めたのは1980年代から。そして、1983年迄に、国際航路の海図は全てIERS基準子午線に書き換えられました。

本初子午線の”本初”とは、「最初」とか「首位」とかの意味ですが、「固定」の意味は含まれていません。つまり、IERSの基準位置は、変更される可能性があるのです。不肖私が洟垂れ小僧だった頃は、イギリスのグリニッジ天文台に合わせたグリニッジ子午線(=エアリー子午線)が経度0度0分0秒という事で学んでいました。でも、現在のグリニッジラインは、西経0度0分5.3101秒に変わった。「5秒もずれた」と言うべきか「僅か5秒」と言うべきか。兎に角、グリニッジ子午線を国際標準時間の起点として覚えさせられた当時の小・中学生と現在の小・中学生は”初っ端から”ズレているわけですね・笑

本初子午線地図で考えてみる日本の位置付け

世界時間の起点(0度0分0秒)を巡る各国の争い(特に、イギリスvsフランス)は実に面白いのですがその話はさて置き・・・
この地図を見る限り、確かに日本は東洋の外れです。新大陸(南北アメリカ大陸)を”手に入れた”ヨーロッパ諸国は、オーストラリアも占領し、ユーラシア大陸の南も東も次々に植民地化した。そして植民地競争の最後の地が日本列島となる。この順序になったのは、本初子午線基準の世界地図を見れば納得出来ます。日本は、ヨーロッパから見て世界の果てだったのだ。ところが・・・
日本は植民地化されるどころか、丁髷文化と手を切るという大変革を断行して一気に近代化を成し遂げた。最後の最後になって欧米による”世界征服”は成らなかった。

欧米による植民地化を免れた日本は、清朝や帝政ロシアという日本から見たら超大国であった両国に勝利します。それは図に乗るなと言うのも無理な話で、有頂天になった日本人は”東洋の盟主”を主張。アジア各国・各地域を欧米諸国による植民地支配から独立させる!という独り善がりの動きを取る。その事を「大東亜共栄圏構想」と銘打ったが、結局欧米諸国に取って代わって、日本が利益を得ようとした(表現は間違っているかもしれないが)、ただそれだけの事としか受け取られなかった。

日本の近代化に対して最も貢献した(手伝った)と強く自負していた米英仏蘭などは、日本の動きを大きな裏切り行為だと糾弾して、その後の展開と現在に至る結果は知っての通り。

裏切り行為と言うより、世界の果てに生きていた蛮族(日本人)が、アジアの資源を独占支配するなど絶対に許さない!と欧米の政治経済界の権力者達が物凄く憤った。だから、何でも度が過ぎると良くないし、「独占」はダメですね。仲間分けの心を失うとろくな事になりません。

さて、この地図を見ると、日本中心地図に描かれた、”空前絶後の海洋帝国(太平洋帝国)”=大日本帝国の最大版図を、けっして空前絶後とは思えない。日本を中心に置く地図とはその印象が随分違うものになります。ユーラシア大陸を席巻したモンゴル帝国の最大版図でさえ「そうですか」程度。やはり、”七つの海を制覇した”と豪語した嘗てのスペインや英国などが”図に乗った”のは良く分かります。

この地図を見る限りでは、ヨーロッパとかアジアとか言ってないで、やっぱりユーラシアで良いのではないか?とも思えます。それと共に、日本版世界地図を見ていれば日本はオセアニア諸国と共に生きよう!とも思えるけど、この地図を見ると、やっぱり日本はアジア(=ユーラシア)の一員だな?とは思えます。

いつも自分が見ている光景を、違う角度から見る。そういうことは大事なので、やっぱり、行ける人は海外へ行って、海外からの目線で自国を見るのが良いです。ところで、アトランティス大陸が云々とか書きましたけど、地図を見ると、大陸とか島嶼の配置とか、地球と呼ぶこの惑星はどうして現在の姿になったのだろうか?って思いますよね。不思議です。

太陽系に於ける地球位置を考える

地球は直径1万2756km。この太陽系・・・・・の惑星の中では、水星、金星に次いで3番目に太陽に近く、(私達の科学の範囲で知る限り)唯一、生物が存在する。ところで、「この太陽系」と書いたが、この大宇宙の中には幾つも(2000億個ともその倍の4000億個とも言われる)恒星がある。そして、地球人は”自分たちの恒星”を「太陽」と名付けた。恒星と恒星を取り巻く惑星(地球も惑星)はまるで違う天体だけど、この大宇宙に恒星が数千億個もあるのなら、いったい惑星はどれだけの数あるのか?突然、巨大隕石が飛んで来るのも頷ける。地球科学がまだ及びもしないことが、この大宇宙には無数にある。

「月は地球に属し、地球は太陽系に属し、太陽系は銀河系に属し、銀河系は宇宙空間に属する。」

地球には生物が誕生した。それは偶然の産物かもしれないが、数千億の恒星がありそれ以上の膨大な数の惑星、それに伴う衛星(地球で言えば月のような存在。地球には月1個。火星には2個。木星には79個。土星には61個(64個)。天王星には27個。海王星には14個。)があるし、「地球外生命体はいない」と断じることの方が無理がある気もする。地球人のような人類がいて、地球人以上に幸せに生きている星もきっとあるだろう。自分達の星が幸せな星だとするなら、自分達以外の星へ行こうともしないだろうから、地球へ来るとしたら本当に侵略性を持った別人類かもしれない。海王星のような何とも不気味な天体に人類がいたら、きっと心も凍っている冷徹人類で・・・恐ろしい。

スーパー大陸変遷

話を戻せば、この地球には、生物が生きていくために必要な大気や水が誕生した。地球生物にとっては太陽から程よい距離にあり、生物が生物たり得る気候環境が整った。しかし、最初からこのような環境があったわけでない。
地球”年齢”は、推定45.4±0.5億年  (4.54 × 109 年 ± 1%) 。約46億年前、小さな惑星同士が衝突し合って今のような大きさと形の原始地球になった。原始地球に対して様々な天体衝突が繰り返される。消え行った天体に含まれていた水蒸気や二酸化炭素が原始大気を発生させ地球を包み込む。その後も、地球に対し天体激突が度々起きた。(現代でも、大小の隕石がしょっちゅう飛んで来る。恐竜絶滅のような大災害にならずに済んでいるのも一種の奇跡。)
科学的理論では、地球の温度が最も上昇した頃には1000度cを超え、マグマの海(マグマオーシャン)が地表を覆った。マグマオーシャンの内部には、それこそ様々な現象が起きたけどそんなものをイチイチ書いてたら終わらない。兎に角、地球は、「」「マントル」「地殻」「地表」という各層で構成される惑星となった。詳しいことは、科学図鑑でもご覧下さい。
そのような高熱(灼熱)時代の地球に”生物”が誕生するわけもないですが、天体衝突ショーも随分減ると、地球は(数十億年かけて)徐々に冷え込んでいく。マグマオーシャンが固まり大地が誕生。物凄く大量の雨が降り、やがて海が誕生する(そんな簡単な話じゃないけれど、端折ります)。原始海洋の誕生は、約40億年前と推定される。

それから約20億年間、海は資源の宝庫となり、そして堆積物の母となり、大地の誕生を手引く。最初の大地(スーパー大陸)は約20億年前に現れた。これは同時期(1億年くらいは先行する)に起きた地球史上最も有名な小惑星衝突によって引き起こされた可能性がかなり高い。「ヌーナ」という科学名を付けられたこの大陸が、地球上最初の大陸と上述はしたが、その科学史が覆されて、それ以前の大陸が明かされる時が来ないとは限らない。でも、そんな超古代の大陸話が分かったところで「だから何?」程度のことで、本当に知りたいのは、消えた大陸上にどのような生物がいたのか。ヒトのような生活があったのかどうか。でも、分かる筈も無いのでしょうけど。ヒト(超古代人)が生まれていたかどうかは解き明かされていませんが、地球史的には、光合成を起こす植物以外に、何らかの真核生物が出現していたと言われる時期でもあり、それならば超古代人とか・・・いたらいいな。

スーパー大陸ヌーナは、約10億年もの長きに渡り地球上にあって、その間に、「ローレンシア大陸」が分裂する。今から約10億年前に、ヌーナに取って代わる次の超スーパー大陸「ロディニア」が登場するローレンシアは消えていないが、ロディニアとの陸地比率では1:9くらい?。それほど、ロディニアは巨大な陸地だった。科学的には、現在の陸地の大半が集結していたと推定されている。
ロディニアとローレンシア。この二つの大陸期の頃、捕食能を持つ多細胞生物の誕生が認められている。科学的には、微生物程度なのかもしれないけれど、共食いの性質か他生物を食べる性質か、兎に角、今の生物の本能の祖は約10億年前辺りに海の中に存在していたって事ですね。

ロディニア&ローレンシア大陸期では、地球誕生の頃の超高温状態とは真逆で、超氷河期が何度も訪れたり、想像も尽きませんが完全氷河状態の惑星だったようです。そういう状態では流石にヒトの暮らしは難しかったでしょうね。でも、生き残った生物も多種あり、寒さに強い生き物の祖?となったのでしょう。但し、ロディニアは、大陸ではあっても大地という表現が相応しいとは言い難い。何故なら、科学的検知に於いては、ロディニアはほぼ巨岩石の塊。多分、土が見えない大陸。大きい生物は生きられない。ローレンシアがどうだったかは知らない。

約6億年ほど前にロディニアは分裂し、最も有名なスーパー大陸の一つゴンドワナが誕生する。このゴンドワナ大陸期に起きたのが、これもまた地球史上最も有名な現象・カンブリア爆発
難しいことはスルーして、兎に角、「動物の門」が一気に大きく開けられ、地球の彼方此方に鳴き声が響き渡り、弱肉強食時代への鍵が渡された。尤も、この時の動物達の殆どは4億3千万年程前に起きた大量絶滅で死に絶えた。その原因は、超新星爆発の影響という見方もあるが、だから、超新星爆発は甘く見たらならない。何事もなく生き残れるのはたまたまであり、その魔手が届いた瞬間に全てが焼失するのだから。

生き残った生物達は数千万年の時を経て多くの命を展開していた。ところが、3億6千万年ほど前に、再び大量絶滅する。

超新星爆発は物凄く怖いことだけど、地球外に起きることで助かる確率は多くある。けれども、地球自体が引き起こすスーパーブルーム現象(マントルで起きている垂直移動(=上昇流と下降流))は、確実に巨大な超大陸を破壊する。生物が何も住んでいないロディニアであれば、破壊されて困るのは微生物に限られるし、微生物も特には困らないかもしれない。しかし、ゴンドワナ大陸誕生以降は、確実に多くの「命」が存在していた。そういう中でスーパーブルームは起きた。しかし、ゴンドワナを襲ったスーパーブルームは、大陸を破壊し消滅させるものとは真逆で、ゴンドワナに対して、ローレンシアの他、パルティカ、シベリアなどの他大陸との吸収・分裂を繰り返した大陸の全てが衝突し、地球史上最大と目される超スーパー大陸パンゲアを誕生させた。これは、2億5千万年前頃の大きな出来事です。

左から、ローラシア&ゴンドワナ/パンゲア/現在の地球 (Wikipediaからそれぞれの地図引用)

パンゲア誕生以前のゴンドワナやその他の大陸には、多くの生物が誕生し生命の営みを繰り返して各々の種族を発展させていた。しかし、パンゲアの誕生時には、科学的な見解として地球上の生物の95%が大量絶滅したものと推察されている。パンゲアの誕生が地球史上で最大であるなら、この大量絶滅も最大規模の生命種消滅だった。生き残ったのは、ゴキブリとか蛆虫とかバクテリアとかミトコンドリアとか…現在まで生き延びている真に強い小型生物と菌のみと考えられている。

ところが、パンゲアは豊かな大地として、再び多くの生物を誕生させた。そして遂に、地球史上最も強大で獰猛で肉食も採食主義者も混在した奴ら、そうです、恐竜の世界が登場する。この恐竜時代の生物達は、大地を揺るがすような火山爆発とか大氷河期とか兎に角大きな自然災害で死滅したように言われるけれど、彼ら(恐竜)が登場してから、約6550万年前にいなくなるまでの1億7500万年ほどの間には、大量絶滅も2度ほど起き、スーパーブルームが引き起こしたと考えられる大陸分裂も大小数回起きているし、巨大隕石の衝突も起きている。しかし、それでも恐竜やその他は生き延びていた。だからこそ、約6550万年前の恐竜絶滅はやっぱり謎なのです。

まだまだ恐竜全盛期だった今から約2億年前に、超巨大大陸パンゲアは小規模の分裂を始めて、約1億8千万年前にゴンドワナが再び離れて”南半球スーパー大陸”となり、北半球のスーパー大陸はローラシアとなった。更に、ゴンドワナは西ゴンドワナと東ゴンドワナに分かれる。それほどの大きな大陸分断が起きても尚、恐竜はびくともしなかった。だから、彼らは、日本列島が大陸から引き剥がされた時には、”日本恐竜”の祖ともなれたのだ。

西ゴンドワナは、今度は現在のアフリカ大陸や南アメリカ大陸に分裂。
東ゴンドワナ大陸は現在のインド半島となるインド亜大陸やオーストラリア大陸、更に南極大陸へと分裂した。
1億4千万年前辺りの出来事だった。恐竜は、移動する大陸に乗って各地に分散し、環境適応の為に姿を変える者も現れ始めた。特に、1億5千万年前辺りから始祖鳥が出現するなど、陸上生活に依存しない空の居住者が増加していく。彼らは、現在の鳥類の祖となる。魚類はもっと古い時代、2億2500万年くらいに登場したと推察されているが、海洋生物はマグマやガスの動き次第や海温変化ですぐに大量死するから、種の起源を見極めるのは凄く困難に思えます。恐竜の中には、海洋恐竜になった者達も少なくはなかったでしょうけど、それよりは、大小の河を生息域に留めた者達の方が命の強さ的には上だったような気がします。

そして、1億年ほど前辺りが恐竜様方の全盛期ピークになったようですが、約9~8千万年年前のパンゲアとして生き残った大地は、スーパーブルームの断続発生で砕け散り、多くはマントルに沈み込んだ。ローラシアは、古ユーラシアと北米大陸となり、更に古ユーラシアとインド亜大陸が衝突して現在のユーラシア大陸にほぼ近い姿となった。

こんな風に、衝突とか分裂を繰り返した地球には、火山台地とか大小の海とか大小の河川やその他様々な地形・水溪を生み、やがては現在の地球地図の姿を形作った。それぞれの地にそれぞれの自然環境が作られたが・・・恐竜の姿はない。その代わりに、あらゆる自然に対して恐竜よりも遥かに厄介な人間が支配者となった。

逃れられない運命

此処までダラダラと書いてきたように、数千万年とか数億年の単位でスーパーブルームや物凄く危険な天体衝突は必ず起きる。だから、現在の地球の姿にも必ず終わりが訪れる。マグニチュード9程度の超巨大地震、その程度のものでは済まない、とんでもない驚愕のの天変地異である。残念ながら殆どの人類、動物、魚介類は姿を消す。鳥は…生き残るかもしれないが食物も餌もない。いや、こういう事はあまり考えたくはないものだ。しかし、要するに、超巨大隕石の衝突が起きずとも、地球は、地球として生き残る為の”リセット活動”を定期的に忘れずに行う。残念だが人類その他の生命体の事などは何も考慮しない。つまり、ホモ・サピエンスが地球を支配しているというのは幻想に過ぎない。地球は誰のものでもなく地球自身のものである。なのに、ヒトは、これだけ地球環境を破壊したのだから、その終焉期には尚更凄まじい報いを受けるのであるが、考えたくはない。

原子核をコントロール出来ると考える科学者は少なくないでしょうけど、この地球に対しても月に対しても他の惑星やその他、絶対に手を出したらならない領域は必ずあるのである。

大陸の突然消滅ということが(例えば、アトランティスやムー)現人類が誕生して以降にも起きていたとするなら、エジプトの神官がギリシア人に対して「お前らは何も分かっていない。大西洋(或いは、太平洋、インド洋、他・・・)には、巨大大陸があったのだ」と言った話は嘘でもなんでもなかった事になる。そのような巨大大陸を伝って人類移動がなされていたとするなら、現在学校で教えている人類進化の歴史も大きく変わる。現人類にとっての歴史時間など、地球にとっては、ほんの居眠り時間程度に過ぎない。だから、居眠りから覚めた地球が、寝心地が良かったと微笑むのか、寝心地が悪かったと怒るのか、出来れば前者でお願いしたいし、スヤスヤと心地良く穏やかに眠って頂きたいものです。

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