大航海と大後悔

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日本の現実

2021年の実質GDP 世界第3位。2位中国とは大差。4位ドイツには名目速報値で抜かれているらしいので実質上も抜かれるのは時間の問題。

2021年の名目GDP 世界第3位。しかし、速報値(2022年数値?)ではドイツに抜かれたらしい。

2021年の名目GNI 世界第3位。この順位も維持は難しいでしょう。

それよりも何よりも、問題なのは以下の事柄。

2021年の一人当たり名目GDP 世界第33位。噂に由れば、速報値では、36位の韓国や38位の台湾に肉薄されているか抜かれている?まぁ噂の範囲でしょうけど、迫られていることは事実。そうなると、40位台の国々からも抜かれていく可能性が十分にある。

2021年の一人当たり個人金融資産 世界第12位。日本国家の借金は殆どが国民相手なのでデフォルトすることはない。というのが経済評論家や政治家の口癖ですけど、個人金融資産を物凄く持っている国でも何でもない(金持ちの国ではない)。一人当たりGDPが30位台と稼げない国民に対し、国の借金はもっと背負えと言っているから国民が幸福を感じられる道理が無い。

2022年の一人当たり購買力平価 世界第37位。一人一人ひとりびとりが裕福な国ではないのだから、欲しいものを変える力がそういう順位であることは当然。無駄遣いも少なくないから、実際はもっと下の方だと思う。海外旅行へ行く人、大型休暇を取れる人の割合も日本は下位に甘んじている。だから・・・

2022年の世界幸福度ランキング 世界第54位。こういう数値が出て来ます(これは、少し上がっている)。この順位も、スコア的には60位台の国々と大差なく、いつまた60位台や70位台に落ちてもおかしくない。この順位が70位台という衝撃的な報が広まった時に、一部の政治家が大騒ぎして「そんな事があるか!」と激昂していた。それで、多分何らか動いてこの2年間の順位が若干上がって来たのだろうけど、この順位上昇はけっして正しくない。GDP数値などの落ち込みに反比例していることなどからもそれは言える。

幸福感が無い国と思われたくないという、強い政治的な作為が働いても50位台が関の山。速報では、2023年度版では47位?くらいらしいけど、これもまたおかしい。金銭的な数値が落ち込む一方で、幸福感が上昇?・・・有り得ない。幸福度ランキングでは常に上位にいる北欧の国々は、一人当たりGDPに於いても日本の遥か上にいる。国全体としては目立たなくても、一人一人はしっかり稼げるし裕福。だから国外への旅行時間もゆったりと取れる。「隣の芝生は蒼く見える」ではないけれど、訪れたこともない国々だけど、やっぱり羨ましく思える。

日本の国際競争力は下落の一途を辿っている。裕福な人たちがいるにせよ、ほんの一部に過ぎない。大部分の国民一人一人ひとりびとりは、生活の豊かさや幸福度を感じられない状況にある。だから生き方がギスギスしていて、他人を祝福する余裕なども失い成功者を妬むばかり。こういう事を書いていると情けなくなるのだが、稼げないし他人を貶すし不幸自慢ばかりしているし・・・という人達が大勢いる。つまり、あまり楽しくない国なのだ。だからなのか・・・

今、一部の日本の若者たちの間には、自国に見切りをつけて外国で働くことを選択肢とする考え方が出始めているようだ。出始めていると言うより、実際にそのような人たちが増えている。そうなると、嘗て、南米のブラジルやペルーを目指していた頃の日本人の姿が再び甦って来るのかな。その頃は、主に農業で一旗揚げようという人達だったろうけど、今の動きは、多種多様な職業分野を対象としている動きのようです。語学力や挑戦心を持つ若者たちが、ビビらずに・・・・・海外を目指すのは当然の事だろうし、少し羨ましくもある。

日本人だからって、一生日本国民でいなければならない理由は何もない。自分が暮らしたいと希望する国で本当に暮らせるのなら海を越えたらいいし、外国の市民権を取得するのも有りだと思う。世界の多くの国の人々がそのようにして生きているのに、日本人だけが日本列島だけでしか生きられないというのも、それじゃ夢が無さ過ぎる。稼げない、勝負出来ない国に居続けないで、稼げる、勝負出来るところへ羽ばたけばいい。そして、世界で戦える力を日本にフィードバックしてくれたら尚、嬉しい。世界で活躍する日本人がもっともっとたくさん増えないと楽しくないでしょう。世界を席巻する日本になって欲しいですよ。

と、前置きはこれくらいにして今回のメインテーマへ(前置き、長過ぎ!・・・スミマセンね)。

日系人状況

“日系人“と呼ばれる人達は、2017年時点で世界に約380万人存在するものと推定されている。実際の数は、400万人を超えているのかもしれない。

諸外国に比べて、約380万人はけっして多くはない。寧ろ、少ない数だと思われる。が、それを内向的国民性と見るのではなく、「出て行きたくない」くらいに日本は良い国だったのだと前向きに捉えるべきなのかもしれない。但し、全世界に約380万人もの日系人がいる割には、その子孫達が日本を目指す割合はけっして高くない。“日系人”の内、現在日本に居住する人達は1割にも満たない。最早、日系人達から見る現在の日本は、強く愛慕する国ではないのだと思われる。結局、後ろ向き?(苦笑)

思い違い

日系人の多さではアメリカ合衆国在住の約120万人を上回り、日系人約150万人が暮らす国がブラジルです。ブラジルに暮らす日系人の多くはサンパウロ州やパラナ州に集中しているという事で、その地域では日本的な文化(日本風文化)も少しは根付いているらしい。

日系人が多いと勝手に日本側がそのように見ているから、ブラジルの事を「親日国」と呼んでいる。しかし、あくまでも150万人の日系ブラジル人社会が存在しているというだけの話であり、ブラジルは経済的な関係性で言えば、圧倒的に中国との結び付きが強い。輸出も輸入も、中国に対しては共に26.8%という高い数値(依存状態に近い数値と言えなくもない)。第二位はこれも輸出入共に12.0%の米国。以降、アルゼンチンやドイツ、オランダという名前が出て来る。輸入に関しては、韓国からの輸入の方が日本からの輸入を上回り3.0%。日本からの輸入は僅かに2.2%しかない。そして日本への輸出も1.8%と少ない。つまり・・・

日系人が多い!と(日本国が)言う割には、日本はブラジルを商売相手に出来ていない。日系人ネットワークも有効活用出来ていない。これで、「親日国だ!」と日本人はブラジルを見ているのだから笑止千万という感じで、日本側の独り善がりが過ぎるのでは?

ブラジルと言えば・・・

ブラジルの首都はブラジリア。ですが、1100万人の大人口を抱える南半球最大のメガシティであるサンパウロや、南米大陸初のオリンピック開催都市となったリオ・デ・ジャネイロが「え?首都じゃないの?」と勘違いされることも少なくない。ブラジリアも、ブラジルでは第3位の約300万人の人口を抱える大都市なのだけど、やっぱり、ブラジルと言えばサンパウロやリオのイメージが強い。寧ろ、サンパウロに近い港湾都市サントスの方が、日本ではブラジリアよりも有名なのかもしれない。コーヒー取引市場があってコーヒーと言えば「サントス」のイメージがあるし、サッカーのサントスFCには”神様”ペレが所属していたし、ロビーニョやネイマールもサントスで育った。幾人かの日本人選手が所属していた事でも知られている。

リオ・デ・ジャネイロ

都市名の由来

リオ・デ・ジャネイロをポルトガル語で書くと「Rio de Janeiro」。本来のポルトガル語風発音では「ヒウ・ヂ・ジャネイル」と言うらしい。地名の意味を単純に訳すと「一月の河」。ですけど、「rio」は、湾という意味を兼ねるみたいですので「1月に発見した湾岸地帯」。1502年1月に発見されたので、そのように命名された。これがもしイギリス人の発見ならば「Bay in January」で、カタカナ表記なら「べイ・イン・ジャニュエリィ」或いは「ベイ・ン・ジャニュエリィ」だったかも?。”リオ”ではなく”ベイ”という愛称で呼ばれていたらちょっとね、今ほど親しまれる都市に成れていたかどうか。ブラジル全体の発展をも左右していたかもしれない湾の発見者が、思わず「リオ!」と叫んだであろうポルトガル人で良かったのかも、ね。

そもそも、何故ブラジルがポルトガルの植民地支配を受ける事に至ったか。

ポルトガル国家成立経緯

現在、スペインとポルトガルという二つの国家が存在しているイベリア半島には、古代初期、地名の由来となるイベリア人と呼ばれた先住者があった。やがてイベリアはケルト人の侵食を受け、更にローマ人(ラテン人)の支配を受けた。一時期は、カルタゴ支配を受けるなどアフリカからの移住地でもあった。

帝政ローマが弱体化するとゴート人(西ゴート族)の本拠となるが、西ローマがフランク化するとゲルマン人達が続々乗り込んでキリスト教化する。ところが、あっという間にイスラム教徒達に席巻されて西方イスラム文化の中心地となった。以来、レコンキスタの場となり血生臭い戦場地帯と化す。

そういう中で、ポルトガルの原型となるポルトゥカーレ伯領が誕生する。ポルトゥカーレ伯領は紆余曲折の末、1128年にレオン王国から独立。1139年に国家宣言してポルトガル王国を成立させた。

スペイン誕生

ポルトガル王国が成立して以降も、イベリア半島ではカスティーリャとアラゴン、更にイスラムの残存勢力などが激しく覇権争いを繰り返す日々が続き、ポルトガルは常にその影響に脅かされながらも国家として成熟していく。
ポルトガル王国の成立に遅れること3世紀以上。1469年にカスティーリャとアラゴンの両王家が婚姻。それによって一つの(連合)国家、カスティーリャ=アラゴン連合王国と成る。その10年後、1479年1月20日にスペイン王国の成立が宣言された。この時はまだ、グラナダ王国がイスラム国家最後の砦となって残っていたが1492年に滅亡。イベリア半島でのレコンキスタが完了する。ポルトガル王国領以外のイベリア半島をほぼ統一したスペイン王国は、急速に国力を伸ばして行く。

大航海時代の幕開け

国家としての経験年数と結束力に於いては、ポルトガルの方がスペインを断然上回っていた。故に、「新世界(=新大陸)」への冒険もポルトガルが一歩先んじた。だから、日本へもポルトガル人が先にやって来た(1541年7月27日、種子島)。とは言うものの、ポルトガルを遥かに凌駕する広域(領域)で成立したスペイン王国の存在は、本来であれば同一国家の一員であるべきポルトガル王国にとっては大きな脅威となった。

スペイン王国成立以前から、カスティーリャその他と繰り広げられていた新世界発見競争は、「どっちが先に見つけたか」という承認争いが絶えなかったが、ポルトガル以外のイベリア諸国がスペイン王国として一つにまとまった事で、ポルトガルに対する圧力は厳しいものになった。
カスティーリャ、それ以前のレオン王国の支配地だったポルトガルにとっては、歴史的経緯を持ち出されたらスペインとの併合に応じる以外になくなる。そうならない為に、ポルトガルはスペインとの対立を極力避けていた。

トルデシリャス条約

クリストファー・コロンブスのように、様々な国家と航海契約する者が現れ新世界発見競争が激化する中、1492年にトルデシリャス条約が結ばれる。この条約によって下記が取り決められます。
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西アフリカのセネガル沖に浮かぶカーボベルデ諸島の西370リーグ(1770km)の海上において子午線に沿った線(西経46度37分)の東側の新領土はポルトガル。西側はスペインに属する。
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この条約が成立していなければ、ブラジルの国家領域がどうなっていたか。もしかすると、アルゼンチンとブラジルその他が同一国家で、南米大帝国と成っていたかもしれない。

リオデジャネイロ発見

1500年4月22日。インド洋に向かっていたペドロ・アルヴァレス・カブラル率いるポルトガル船団は、未知の陸地に漂着します。ヴェラ・クルス島と名付けられた上陸地点は、現在のバイーア南部のポルト・セグーロだとされている。サルとオウムしか”暮らしていなかった”と云われるこの地は暫く放置されていたが、ポルトガル人は新世界の発見に沸き返った。そしてポルトガル人の旅は、その約2年後にリオ・デ・ジャネイロと名付けられた地に行き着いた。

オリンピック

それから500年以上経った現在のリオ・デ・ジャネイロは、人口600万人以上を抱え、サンパウロ(=Sao Paulo「聖パウロ」を意味する)に次ぐブラジル第二の都市となった。そして、南米大陸初のオリンピック(2016年夏)を開催するに至った。

大航海時代にポルトガルの植民地化されたブラジルは、遂に、ポルトガルが開催経験を持たない近代オリンピックを開催するに至ったわけだが、開催の影響で財政事情が厳しくなった事も報じられたり、治安の悪さも懸念されている。オリンピック開催を「大後悔」する事にならないことを祈ります。が、オリンピック開催の後悔よりは、自信と誇りの方が圧倒的に上回っている気がします。

日本人が大航海するならば・・・

日本だって、遅ればせながら欧州諸国のように大航海したんだよ。但し、やり方を間違った結果、”アジアの嫌われ者”として孤立する羽目に。

そもそも、侵略の考えを持った時に、為政者の命運が尽きることをどうして学習出来ないのだろう?

古代期から中世期にかけて、飽きるほど日本(九州)を攻撃した韓人は、結局それを成せずに中国王朝にひれ伏して、長い間、中国の属国だった。ユーラシア大陸を席巻した強大なモンゴル帝国も崩壊した。日本国内史に於いても、侵略性の強かった武将達は最後は皆、多くを失う羽目になった。そして、大日本帝国を名乗って「大東亜構想」をぶち上げた日本は、不必要な朝鮮半島に手を出し、中国にまで食指を伸ばした挙句の果てに元々の領土(北方領土も太平洋の各島々も)を失うことになった。

ポルトガルだってスペインだってイギリスだって何処の国だって、無理矢理に植民地化した場所の多くを失って、ついでに国家財政を悪化させて、世界的な権威も失墜させている。そういうことを知っているのに、どうして「日本だけは違う」「日本だけはそうはならない」「日本は神の国だから」なんていう発想に至るのか・・・

明治期から昭和初期の日本版大航海は、本当に、大後悔になった。唯一良かったのは、軍事国家ではいられなくなった事くらいだが、そろそろ、大後悔期も終わらせないといつまで経っても未来を拓くことが出来ない。大後悔期を終わらすには、やっぱり大航海しかないでしょう。

だから、冒頭に戻るけれど、外貨を稼げない国は必ず朽ち果てる。なので、(軍事侵攻などではない)海外での仕事領域確保~拡充をやるしかない。中国がやったように、多くの若者たちが海外で仕事を”取れる”国にならないと廃っていくばかり。それを、国内空洞化して税収が落ち込んだら・・・とか恐れているばかりでは、海外との格差は広がる一方になるよ。

国内は国内でやるんだよ。当然だよ。国内でしか出来ない事はまだまだたくさんあるのだから、それは絶対に守らないとならないし発展させなければならない。でも、それ以上に海外の現地で勝負して仕事を得る。それが絶対にかっこいい。ボクシングでも、国内での試合ばかりの選手は魅力がない。相手のホーム(海外)でベルトを奪って、相手のホームで防衛するから世界的な選手として認められる。技術者も文化人もスポーツ選手も、相手のホームで現地人以上の仕事を成して認められて欲しいです。そういう人達がたくさん出て欲しい。それこそが、正しい「大航海」でしょう。

とか書いている当人は、既に枯れている人間だからさ、海外なんて行けないのさ。言うばっかし、口先だけの人間である。自分では出来ないから、出来る人をたくさん「見たい」のさ。見て楽しむくらいしか出来ないから。

キリがないので、今回はこの辺で終わります。

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