歴史とは何か?と問われたら・・・
「これだ!」というピッタリの説明文が『サピエンス全史)』(著者=ユヴァル・ノア・ハラリ氏:1976年2月24日生)(日本語訳文=柴田裕之さん)の上巻冒頭に記述されています。
===以下、『サピエンス全史』より引用===
今からおよそ135億年前、いわゆる「ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した。私たちの宇宙の根本を成すこれらの要素の物語を「物理学」という。
物質とエネルギーは、この世に現れてから30万年ほど後に融合し始め、原子と呼ばれる複雑な構造体を成し、やがてその原子が融合して分子ができた。原子と分子とそれらの相互作用の物語を「化学」という。
およそ38億年前、地球と呼ばれる惑星の上で特定の分子が結合し、格別大きく入り組んだ構造体、すなわち有機体(生物)を形作った。有機体の物語を「生物学」という。
そしておよそ7万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、なおさら精巧な構造体、すなわち文化を形成し始めた。そうした人間文化のその後の発展を「歴史」という。
===以上、引用終わり===
不詳私などが、物理と化学と生物と、そして現生人類(ホモ・サピエンス)の時間を、これ以上の説明文で書ける筈もない。雑誌やインターネットサイトに数多く引用掲載されているこの名文を、当SITEでも掲載させて頂きます。
『サピエンス全史』の日本での初版は2016年9月。以来、多くの人に愛読されています。近著『ホモ・デウス:テクノロジーとサピエンスの未来』も人気書になっていますが、ユヴァル・ノア・ハラリという人は、それこそ歴史に名を刻まれる人になれるのかもしれません。
ハラリ氏曰く、ホモ・サピエンスは・・・
●約7万年前に、認知革命を起こして歴史を始動させた。
●約1万2千年前、農業革命によって歴史の流れを加速させた。
●今から僅か500年前、科学革命が始まりそれは今も進行中。但し、この科学革命によって(ホモ・サピエンスの)歴史が終わる可能性を秘めている。
地球や宇宙の物語(成立から現在までの時間)は、(人類の)歴史などで括れない(語れない)。それらは地球科学や宇宙工学、天文学などで解明・解析するもの。人間の歴史物語と、壮大な地球・宇宙・無の世界の物語は別ものだ。なるほど、分かってそうで実は分かっていなかった。「地球の歴史」とか「宇宙の歴史」なんていう間違った言葉を幾度となく用いていて厚顔無恥だった。大いに反省しよう。
サピエンス(ホモ・サピエンス・イダルトゥ/ホモ・サピエンス・サピエンス)以外にも、ネアンデルターレンシスやエレクトゥス等々、教科書や専門書、百科事典などで見慣れた”人類たち”が登場する『サピエンス全史』ですが、登場から退場までの経緯が理解しやすく描かれていて実に面白い。
学問は進化する。歴史研究が進めば進むだけ古代の真相へ近づいていく。つまり、未来は古代の扉でもある。
「狩猟採集民は豊かな暮らしだった」という科学的な説がある。そのことにはハラリ氏も触れている。人類史、歴史などについて博識であることを自負する人たちは、自分が学び得た知識を覆されることを嫌うけれど、考古学的に、そして科学的に解明(検証)された新説は受け入れざるを得ない。
(ホモ・サピエンスの)歴史が消えることがないように、何処かの時点で、私たちは現在進行中の科学革命の歩き方(考え方)を大きく変化させないとならなくなる。『サピエンス全史』は、その事を気付かせる書物である。優れたビジネス書でもあるので(ビジネス書大賞も得ているので)、まだ読んでいない人は、是非、一度は目を通しておくべき良書です。
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