未来は今日始まる、「今」は既に歴史の1ページ

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The future starts today, not tomorrow.(未来は今日始まる。明日始まるのではない)

冒頭の一文は、第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世(1920年5月18日 – 2005年4月2日)の言葉。
誰もが言える言葉ですが、偉い人が言ったことでより象徴される。

一秒前を取り戻す事はもう出来ない。」(今、この瞬間から)一秒後は未来。一寸先は闇です。一秒後の様子が、今、この瞬間とまるで違うものになる。その事を、歴史は数限りなく刻んで来た。未来は今の一瞬の積み重ね。一つ一つの時の刻みを大切に大事に生きれば、過去の宝石のような思い出はけっして色褪せることはない。過ぎ去った時を取り戻しに行くことは出来なくとも、大切にして来た時は無駄にはならない。

今、この瞬間から未来を築いている。未来のすべては、過去の教訓に拠る。無駄な過去は何も無い。過去は何一つ無駄にならない。過去の歩みを無かった事には出来ないからこそ、全ての時を大切に。
辛かった時も、それを乗り越え次へ向かえたからこそ、(その辛い時から見れば)未来だった今に生きている。
“その時”には、”今”を予想出来なかった。という思いも寄らない未来の時は誰にだって訪れる。

ヨハネ・パウロ2世について、以前、イギリスBBC放送で報じられたニュースですが、最も惹かれた記事なので記載しておきます。
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生前の(ローマ法王)ヨハネ・パウロ2世が、「既婚女性と親密な関係にあった事を示す数百点の手紙や写真」の存在が明らかにされた。お相手はポーランド系米国人の哲学者アンナテレサ・ティミエニエツカ女史。
法王就任前の1973年、ヨハネ・パウロ2世はポーランド南部クラクフの大司教だった頃にティミエニエツカさんと出会った。その後、文通を始めて、(BBCによると)親しみが増すにつれ、その内容も「より親密に」なっていく。
スキーやハイキングに誘い、キャンプにも同行させたり、でも「禁欲の誓いが破られた根拠は何も無い」
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法王の名誉は守られているようで、しかし、如何にもイギリスメディアらしくスキャンダラスのように匂わせ報じている。尤も、ティミエニエツカ女史はその内容を否定。「私が、法王に恋した事実はありません。私には夫がいますし、相手(法王)は中年の聖職者ですよ?」と。

中年の聖職者はモテないのか?(笑)この言葉の真意は分かりませんが、ヨハネ・パウロ2世にとっては”残酷な”否定?ヨハネ・パウロ2世は、既に、歴史上の聖人ですので、正に死人に口なしです。反論の術を持たない相手をスキャンダラスに報じるBBC・・・なかなか卑劣に思える。

BBCに限らず、スキャンダル好きなメディアはあまり好きじゃないけれど、メディアが暴露しなければ事の重大さが明るみに出なかった可能性さえあるのが、全世界のカトリック教会・聖職者達による小児に対しての性的虐待事件。日本に於ける旧ジャニーズ事務所問題に似ているが、被害者の規模がまるで違い桁外れの悪質さ。勿論、旧ジャニーズ問題が極めて悪質であることは当たり前ですが、不肖私が芸能界とか疎いのであまり知らない事には触れません。アシカラズ。

聖職者による小児への性的虐待事件は世界規模。(特に知りたくもなかった事ですが)不肖私などは、キリスト教に全く興味が無いのですが、流石にこの事件はおぞましい。

世界的大事件ですので検索したらいくらでも詳細を知ることは可能ですし、当BLOGでは深くは触れませんけど、この事件は、2002年のボストン・グローブ紙のニュース記事を皮切りにして全米で大きく報道されたことで明るみになった。2002年は、まだヨハネ・パウロ2世が法王在任中であった。崩御後に列聖されるなど世界中から尊敬された法王でありながら、この件に何らか内部からしっかり調査して対処されたというような報道はなかったように思う。

そして、この件で酷く糾弾されたのは、第265代ローマ教皇ベネディクト16世。先代法王(ヨハネ・パウロ2世)は、せいぜい、”人妻相手に約30年間恋文交換していた”程度のスキャンダル報道を(死後に)受けた程度なのに、ベケディクト16世は、小児性的虐待問題の全責任を背負わされる形となり、ついに心労によるものか、719年ぶりの「自らの意思で辞任した教皇」(史上2例目)となってしまう。

ヨハネ・パウロ2世の最側近として揺るぎない立場にあり、世界中から信頼され、予想通りにコンクラーヴェに勝利し聖職者最高の地位に上り詰めたベネディクト16世は不運としか言いようがない。勿論、小児性的虐待事件を何とかもみ消そうとしたことも事実なのでしょうけれど、だから世界中から総スカンを食らう羽目に陥ったのでしょうけれど、事件発覚時点の教皇はあくまで先代ですからねェ。

結局は、事件を耳にしたその時の判断を間違ってしまって、悪い未来を招いてしまった。そういう事になります。起きてしまった事件を無かったことになど出来ない。であるならば、時を無駄にせず、早急にベストな対応をしなければならない。最高級の聖人であれば、誰にも文句を言わせない対応が出来た筈だ。それが出来なかったって事は、「教皇と言えども、同じ穴の貉?」と勘繰られても致し方ない。

   ヨハネ・パウロ2世銅像         ベネディクト16世                  フランシスコ

そういう下衆の勘繰りを受ける程、ローマ教皇という地位にある人を傷つけたのだから、当事者の聖職者のみならず(カトリックもプロテスタントも関係なく)キリスト教社会全体で”大人と子どものあり方について”正しい姿を作り直すべきでしょう。男色でさえ気味が悪いのに、子どもを相手になんて・・・

しかし、正しい姿を構築し直すって簡単じゃないよ。ジャニーズの事件だって正しい解決へ向かうのが難しいからすったもんだ・・・・・・している。同じ国で千人以下(恐らく)の被害者への対応にも苦しんでいるのに、全世界で数百万、数千万人の被害者に対しどうするよ?そして、今後、性被害者を生まない社会を構築するなんてほんとどうするよ?日本では、毎日毎日性被害者報道が出ているよ。異性・同性に関係なく暴力による性行為は許されない。そんなことは当たり前なんだけど、当たり前のことを生きている人間の全てが守るって、ほんと簡単じゃない。全世界共通の厳しいモラル法とか作って次から次へと罪を処断し続けない限り解決しない。つまり、そういう事よ。

宗教や思想、経済主義、言語、地域性、その他、ありとあらゆる事が異なる全ての国家が共通のモラル法を持つことに同意する以外に、世界的な犯罪に対応する方法なんて無い。そして、そういうことが実現するのなら国家の垣根なんていらないし、まるで違う地球になれるんだろうけどね。・・・終わり。

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