最古のヒト

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サヘラントロプス・チャデンシスは「ヒト」である?

中央公論社の『世界の歴史』の文章を借りれば・・・
===引用開始=–
ヒトは、科のすぐ下の亜科のレベルで、チンパンジーやゴリラなどと分かれることになる。即ち、現生人類はヒト科ヒト属ヒト種ではなくなり、ヒト科ヒト亜科ヒト属ヒト種になるわけである。
===引用終了===

ヒトは、いったい何処(いつの時代)で明確にヒトとなったのか。ヒトの祖先を求める旅(発掘調査)は現在でも世界中で繰り返されている。

2001年7月19日。フランスの調査チームによって、学名『サヘラントロプス・チャデンシス』という化石人類が、チャド共和国の北部・ボルク州で暮らしていた痕跡が発掘された。発掘地チャドとサハラ砂漠に因む名前とを付けられたサヘラントロプス・チャデンシスの学術分類は、「動物界ー>脊素動物門ー>脊椎動物亜門ー>哺乳網ー>サル目ー>ヒト科ー>ヒト亜科ー>ヒト族ー>ヒト亜族ー>サヘラントロプス属ー>サヘラントロプス・チャデンシス種」。現在のところ、最古のヒト。今から約700万年前~約680万年前に生きていたらしい。

左から:脳の大きさ、生態復元想像図、輪郭線  画像は、wikipediaよりお借りしました。

さて、このサヘラントロプスさんを『ヒト』として認めるのであれば、化石人類の宝庫だったタンザニア、ケニア、エチオピア、ソマリアという東アフリカではなく、アフリカ大陸中央部北寄りのチャドが最古人の登場地点になる。上の画像の「ヒト」を、ご先祖様!と拝めるか?・・・例えば、このヒトのお仲間の若い女性が出て来たとして・・・惚れはせんよね(笑)

サルかヒトかと問われたら微妙なところで、二者択一ならヒト!と言わざるを得ない気がするけれど、人間の女(例えばアンドロメダ)に欲情したという神ゼウスは、サヘラントロプス・チャデンシスの女性を抱けるやろか?

ギリシア神話や西洋の宗教では、ヒトは神の創造によるとか言うけれど、サヘラントロプスさんとホモ・サピエンスを比べて、どっちも神が「ヒト」として創ったと言うのなら、神に問いたい。どっちが神にとっての「ヒト」であるのか。と言うか、サヘラントロプスさん達には、「神」を「神」として崇める思考があったのだろうか?上の画像の人達が神話や聖書を語ることは私には想像出来ないよね。つまり何を言いたいのか、であるが、

宗教とかまして神話を信じるような人たちにとって、「ヒト」とは何ぞや?

ホモ・サピエンス(ホモ・サピエンス・サピエンス)だけが、神話や宗教を信じるようなヒトであって、それ以外のヒトにはきっとそのような文化は無かった筈だから、そこら辺の「ヒト」についての宗教的な見解をね、ちょっと聞きたい。サヘラントロプスさんを「ヒト」として取り扱うのは信仰に煩い西洋人なんだろうから。

いやいや、サヘラントロプスさんは「ヒト」だけど、神を知らない出来損ないです、とか答えが出て来るのかな。それこそ、人種差別やろう。なーんてね。ヒトを見た目の容姿や思考や思想で差別してはいけませんとか言う人たちに、サヘラントロプスさんと結婚出来るか是非聞いてみたい(笑)

ミシェル・ブリュネ

調査チームのリーダーで、古生物学者のミシェル・ブリュネ氏について。ブリュネ博士の最初の大きな成功は、チャド共和国、コロ・トロ近くのバーレルガザリ渓谷で350万年前と推定される「アウトストラロピテクス・バーレガザリ 愛称アベル」を発掘したこと。因みにアベルは、アウストラロピテクスの間では2番目に古い。(最も古いのは、アウストラロピテクス・アナメンシスで。約370万年前のヒトと云われる)。論文発表当時(1996年)は、この事により、古生物学分野に於ける歴史的英雄リーキーファミリー(参照記事)の功績が無に帰すわけでもないだろうにこの発掘結果を学界は受け入れ難いものと見做していたらしい。けれども、最も古いヒト科と考えられる「サヘラントロプス・チャデンシス 愛称トゥーマイ」の発掘によって、チャドの発掘成果を受け入れざるを得なくなった。

ブリュネ博士、このまま行けば凄い功労者になるよね。と言いたいところだが、少しだけ何だか雲行きが怪しくなってきてはいないだろうか?

グレコピテクス

チャド北部の発掘現場から少し北上すればそこはもうリビア共和国。その先は地中海。それを渡ればギリシア・・・
人類は神が創出し、その神々の故郷はギリシアである。と言う神話の国が人類最古の地点になれば、ヨーロッパ第一主義に繋がりそうでそれはちょっとイヤだな。でも、人類最古の化石人類の候補となっているのが、グレコピテクス

グレコピテクスは、1944年にギリシアのアテネに在るピルゴス・ヴァシリシスで発見された。発見と言ったって、大臼歯のある単一の下顎の骨だけなんだけど、それだけを証拠に検証確認された結果、約720万年前の中新世後期にヨーロッパ南東部に生息していたとされるヒト科の属。という主張がなされている。いよいよ、ギリシアの神々が創造したヒトが登場するのだろうか。それもまた楽しみではあるのだが、サヘラントロプスのトゥーマイさんよりも更におサルさんっぽくなるのかな?いや、この世のものとは思えないほどの絶世の美女であることを期待したいけど(笑)

取り敢えず、人類の起源=ヨーロッパ!と主張し始めている人達が出て来ている、そのきっかけは、2017年に、ドイツ、エーバーハルト・カールス大学テュービンゲン校のマデレーヌ・ベーメ率いる国際古生物学チームが、グレコピテクスの標本の歯と年齢に関する詳細な分析を発表したこと。それが最古の人類である可能性があるという結論に達した!と。
つまり、グレコピテクスさんは、チンパンジーの祖先から分かれた後の人類に於いて最古、直接の祖先である可能性があるということらしい。尚且つ、ヒト科の起源がアフリカであるという一般に受け入れられている証拠に反して、人類の祖先は地中海地域の類人猿の主な祖先から生じ、アフリカに移住してホモ・サピエンスなどホモ種の祖先に進化していったと主張している。因みに、このチームは、人類理論の起源を「ノースサイド物語」と名付けている。(以上、Wikipedia参考)

グレコピテクスさんの標本って↑だけよ(Wikipediaよりお借りしました)。これで、最古の「ヒト」を主張されても・・・ね。

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